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この度はおちあいろう新貸切別邸「石楠花(しゃくなげ)」にたくさんのご反響をいただき、誠にありがとうございます。
今回の石楠花の現場責任者を務め、ご自身の曽祖父が約100年前におちあいろう本館の建築に関わったという一級建築士の山崎康輔氏の(むつわ建設株式会社・伊豆)にインタビューを行いました。
リニューアルプロジェクトの発足背景をおちあいろう総支配人・魚留聡氏と振り返りながら、山崎氏が「石楠花(しゃくなげ)」に込めた熱い想いや建築秘話についてお届けいたします。
ー改めて、今回の貸切別邸「石楠花(しゃくなげ)」オープンの経緯について教えてください。
魚留:石楠花は、おちあいろうを創業した足立家が長く暮らした建物です。国の有形文化財にも登録され、今では再現が難しい技法が随所に散りばめられたこの貴重な建物を人々に喜ばれる形で100年後に残したい、という思いからこのリニューアルプロジェクトが発足しました。
創業の足立家は明治時代から湯ヶ島で金を採掘して財を成し、「人々に癒やしを与えたい」という思いで建てた旅館がおちあいろうの始まりです。昭和初期の大恐慌の際には自身の財を旅館改修に投じて、雇用を創出し、伊豆半島の景気回復を図ったと言われています。また、旧湯ヶ島小学校に体育館を寄付するなど、その後も地域の発展に尽力し、地元の人々に慕われておりました。
そんな創業家が暮らした建物を守っていくのはとても価値があることですし、「一棟貸切」という特別な滞在を通してみなさまに豊かな体験をご提供できると信じています。
ーなぜ、むつわ建設株式会社へリニューアル工事を依頼したのでしょうか?
魚留:むつわ建設は、先ほどお話した約100年前のおちあいろう本館改築工事から始まり、長い間おちあいろうの歴史に寄り添ってきた大切なパートナーです。5年前の「おちあいろう」リニューアルの工事、2年前のおちあいろうステーキハウスの開業工事などの大きな改修はもちろん、日々のメンテナンスもお願いしてきました。おちあいろうの歴史を理解し私たちの思いを汲み取ってくれ、そしていつも丁寧に建物のお手入れをしてくれるむつわ建設に今回の石楠花工事もお願いしたのは、とても自然な流れでした。
山崎:むつわ建設にとってもおちあいろうは特別な存在であり、お話をいただいた際は身が引き締まる思いをしました。
ー山崎さんの曽祖父は、昔のおちあいろうの建築に関わっていたと聞きました。山崎さんご自身も、昔からおちあいろうとは馴染み深かったでしょうか?山崎:私の曽祖父は、約100年前におちあいろう改築の際に、本館建築に携わった大工の一人でした。当時の工事写真にも写っている、屋根に乗っている一人です(笑)。また、私の祖母は創業家の足立さんが経営していた時代におちあいろうで働いており、私自身小さい頃にときどき遊びに行ったりと身近な存在ではありました。その当時は天狗の湯にも入ったことがありますね!5年前にこの旅館が「おちあいろう」としてリニューアルオープンした際は、私の父が工事に関わっておりました
ーなかなか深いご縁がありますね!山崎さんは関東の大学で建築を学び、一度は就職もされたとのことですが、家業を継ぐ決断をされたのはいつごろでしょうか?
山崎:大学を卒業後はゼネコンに就職し、建設現場についてたくさん学ばせていただきました。そして経験を積んでいく内に、家業である「むつわ建設」を守り地域のために発展させたい、という思いが強まっていきました。むつわは元々曽祖父の時代から始まったもので、当時は建設会社という概念はなく、町の職人6人の集まりで「むつわ」と名付けたそうです。社会人2年目のときに家業を継ぐことを決断してから、一級建築士と一級施工管理技士の資格を取得し、むつわに戻りました。地元に戻ってから私が関わった一番最初の仕事がおちあいろうステーキハウスの開業で、これも今考えればご縁ですね。
ー「石楠花(しゃくなげ)」を担当されることが決まったときはどんな心境でしたか?
山崎:もちろんとても嬉しかったのですが、正直プレッシャーも感じました。おちあいろうは昔からむつわ建設にとっても特別な存在であり、地域の中で誇れる旅館の一つです。5年前のリニューアル後に家族で試泊させていただきましたが、「すごい旅館に進化した!」と衝撃を受けました。昔からある建物をそのまま保存しているのはもちろん、今の良さも取り入れており、更に素敵な空間になっていました。今回の石楠花のリニューアルも、文化財を残しつつ新しい価値をお客様に届けるというおちあいろうにとっても挑戦であり、その期待にきちんと応えなければと強く責任感を覚えました。お声をかけていただいたからには、「全力でやり切る」と覚悟を決めました。
魚留:実際、康輔くんはほぼ毎日おちあいろうの現場に来ており、誰よりも石楠花のことを考えてくれています!まさに毎日全力で向き合ってくれており、とても頼りになります。
ー「石楠花(しゃくなげ)」のリニューアル工事を行ってきた中で、大切にしていること・苦労したことなどのエピソードについてお聞かせください。
山崎:石楠花のデザインコンセプトは、「まるで昔からそこにあったもの」「建設当時の設計者が令和に改装していたらどのように考えるか?」です。建物の設備機能を快適にアップデートする改装ですのでもちろん内装自体は新しいのですが、それらもまるで100年前から存在しているかのようなデザインを意識しています。そのため、建物自体に残っている材料(希少価値の高い木材・瓦・照明器具など)を大切に再利用しますし、接着剤を使わないなど、あえて昔の建築技法も取り入れています。今の技法と比べると時間もかかるし、作業は大変でもあります。新しく取り入れた建具は昔の色に合わせて着色していますが、塗装料は何十種類も試しましたね。また、建物自体は今の規格とは異なる材料を使っているので、その材料はなにか?を一つ一つ調べています。例えば、「既存のこれはなんの木なのか?」を職人さんに質問したり調べたりし、空間調和のために新しくどんな木材を使うのか?を考えて決めていく、ということを隅々まで行っています。
今回の石楠花リニューアルは、おちあいろうの思いをしっかり汲み取り、それを工事に関わる全員で同じ熱量を持つことが大切だと考えています。そのため、職人さんに関しては、これまでも昔の建物を対象に丁寧な仕事をしてきた方々を集めました。全員が「これはきれいなだけでなくおちあいろうらしいかどうか?」という目線でいつも考えています。これから100年後の人たちに、石楠花は令和時代にいい改装をしたなと言ってもらえるように心を込めて作っていま
ー「石楠花(しゃくなげ)」の好きなポイントについて教えてください。
山崎:建物として純粋にかっこいいですね!元々かっこいい建物を、どのようにしたらもっとかっこよくできるのか?について考えるのがとても楽しいです。おちあいろう本館同様、今では再現が難しい建築技法や難易度が高い装飾が至る所にあり、職人の腕前に感嘆するばかりです、建物全体としては、和の様式だけでなく、サンルームやステンドグラスなど洋風なデザインも取り入れており、創業の足立家はご子息がアメリカにも留学していたこともあり、当時から先進的な考え方をお持ちの方々だったと考えられますね。リニューアルにあたり旧居住棟を最初に清掃した際には、英語の文献や新聞をたくさん発見しました。
また、一つの部屋が見どころ、というのではなく、窓から見える緑、側を流れる川の音、吹き抜ける風、差し込む光のすべてが調和して、非日常的でありながら暖かみのある、ほっとできる空間となっています。
ーお話をお聞かせいただきありがとうございました!最後に、これから訪れるお客様に、どのように「石楠花(しゃくなげ)」を楽しんでいただきたいですか?
山崎:そうですね、通信機器を一切持たずにお越しいただきたいです!笑先ほどもお話しましたが、石楠花の素敵な空気感を五感でゆっくり感じてほしいです。本当に落ち着ける空間ですので、ここでは日々の悩みを一旦忘れ、石楠花の空間に身を委ねて英気を養っていただけたらと思います。ぜひオープンを楽しみにしていてください!
魚留:通信機器を持たずに… まさにその通りですね!石楠花は非日常の至極と言っても過言ではないくらい、とても贅沢な空間です。ぜひオープンを楽しみにしていただけたら嬉しいです!
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